和紙でがま口コインケースを作ってみました!

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

かばんやアクセサリー以外の商品も新たに作ってみました。

前から問い合わせも入っていたので、小物商品も充実させたいと思い、

小銭入れにチャレンジしてみました。

試作からスタートして、販売まで至った経緯をご紹介したいと思います。

 


 

~がま口にチャレンジ~

実は、がま口はパスケースですでに和紙で作っていました。(;^_^A

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これは、ワークショップも開催しているので前々から注目いただけていました。

ただ、海外のお客様にはパスケースとしての用途があまりなく、カードケースとして販売しています。

当ショップのお客様は、海外のお客様がメインなので人気や注目のバロメーターはチェックしなければなりません。

昨年のドイツでの展示会でもハンドバッグだけでなく、眼鏡ケースなど小物類の問い合わせも頂いておりました。

そのあとにすぐにコロナ過になり、商品作りも国内を意識した商品に見直しをしなくてはならなくなり、考える余裕がなくなってしまいました。

ただ、どんな状況でも海外からのお客様からも問い合わせを頂き、国内からも小物類の問い合わせも出てきたことで今回制作に至りました。

まずは、作り方の構築や使い勝手もみようと思って試作作りをスタート。

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和紙がま口と聞くと破けてしまうのではと心配される方もいらっしゃるので、雨などに濡れても問題ないように加工し、かつ和紙の風合いはなくならないようにパスケース以上に考えて作ってみました。

そして、2種類が完成し、さっそく使ってみることにしました。

結果、1か月使用しましたが、何も破けることなく水に濡れても問題ないことが分かりました。

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これで本格的に商品作りを始めたいと思います。

とはいっても少数で販売し、反応を見ることにします。

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デザインは、和紙に合う和モダンにして、海外の方も国内の方にも親しんでいただけるようにしました。

 

鳥獣戯画  

鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)は、平安時代に描かれたものと言われています。

人間のしぐさをする動物たちの滑稽さを表していることから漫画の原点とも言われているそうです。

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展示会も多く開催されているので、興味のある方はチェックしてみてください。

こちらのコインケースは丸みを意識しました。

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ラミネート加工などはしていないので、和紙のシャワシャワっとした風合いを生かしています。

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内側は和モダン柄の布を選びました。

紺地にして色のコントラストをつけてみました。

小銭入れだけでなく、スマホなどの充電コードを収納するものにも使えますよ。

詳細はこちらをご覧ください。

shop.thewashi.tokyo 

歌川国芳の猫~

こちらは、歌川国芳の 「其のまま地口猫飼好五十三疋(そのまま-ぢぐち・みやうかいこう-ごじうさんひき)」からいくつか抜粋してデザインしました。

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背景には青海波の文様にして猫たちを浮きだたせてみました。

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ちょっとにじんだ具合がより和紙っぽさの風合いを表現していると思います。
折れ目が入らないように和紙にしわをあえて入れています。(もみ紙とも言われています)

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こちらは、内側にも和紙を使っています。

鎌倉彫を模倣した和紙で表面が光沢があるめずらしい和紙ですよ。

汚れもつきにくいと考えてこの和紙を選びました。

小銭入れだけでなく、Suicaなどの磁気カード入れにも使えますよ。

詳細はこちら

shop.thewashi.tokyo

~最後に~

まだ販売をスタートしたばかりなので、反応が楽しみです。

他のデザインも考えて紹介していこうと考えています。

あと、眼鏡ケースやキーケースもより和紙小物類を充実していきたいと思います。

元となる和紙もデザインだけでなく素材も話題になるようにしたいと一つ実験を始めようとしています。

どんな商品ができるかを楽しみにしていただければ幸いです。



   

#coincase #Washi #WashilaboTOKYO #handmade #Traditional #gamaguchi

 

 

 

20210515 水引あわじ結びオンラインワークショップを開催しました

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

久しぶりにオンラインで水引結びのワークショップを開催しました。

当方のワークショップは初めてチャレンジする初心者向けとなっています。

今回は4名の方がご参加頂きました。

オンラインでは初めての人数なので、ちょっと戸惑いましたが、無事に全員が完成させることができました。

どんなワークショップだったかををご紹介します。

 


 

~今回の参加者さま~

団体でお申込みを頂きました。

在留外国人の皆様向けに日本文化を紹介されているグループからオンラインで水引を紹介したいということで、まずスタッフの皆様がワークショップにご参加頂きました。

参加者の皆様はどなたも水引結びをされたことがないそうです。

当方の水引ワークショップは超初心者向けのプログラムになっています。

そもそもワークショップを企画したのには理由があります。

最初は水引で作った商品を販売だけしていましたが、お客様から「水引結びにチャレンジしたいんだけど、本や動画を見ても意味が分からなくて失敗ばかりする」というお声でした。

それが一人だけでなくいろんな人からも同意見を頂いたので、初めてチャレンジされる方向けに開催しようと企画がスタートしました。

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海外でもジェスチャーなどを交えて開催し、皆さんキレイな水引結びをマスターされています。

いままで水引に触れてこなかった方でも完成させることはできると思います。

オンラインでの水引ワークショップは、基本的に3名までとさせていただいています。

 理由として、画面越しで直接のサポートができないので人数が多いとそれぞれのフォローができるかどうかが不安があったからです。

また、参加者の進み具合に差があると全体の流れをどう進めるかの見極めが難しいと思ったのですが、今回は実験もかねて4名で進めていくことにしました。

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~いよいよワークショップスタート~ 

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まずは、水引の歴史を紹介します。

いろいろ調べると所説あってどれが正しいのかはわかっていないんですよね。

(遣隋使説、日明貿易説、寺社仏閣結界説など)

そして、日本で水引が多くつかわれているのはご祝儀袋です。

実は結びによって使い分けをしなければならないので、その点も併せてご紹介しました。

やはりここら辺は外国の方々にも知って頂きたい情報になります。

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そして、実際に水引結びを一緒に作っていきます。
オンラインでは、私の手元がアップで映るようにサブカメラもスタンバイして進めていきます。

ワークショップでは、水引結びの基本ともいえる「あわじ結び」をお伝えしています。

この結びがマスターできれば、他の結びもすぐに理解できますよ。

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事前にキットを送っているので、その中から水引を選んで作ることができます。

超初心者向けなので、一遍に多くの水引で結びません。

1本から丁寧に結んでいきます。

そして、オンラインの場合繰り返しあわじ結びを結んでいただきます。

水引結びには、決まった通す順番があります。

これをすんなり理解できて結べることが大事です。

オンラインだと直接のサポートができないので、しっかり覚えていただくことが必要です。

よって、ワークショップではテキストを使いません。

まずは、こちらの手元と同じように通す順番を覚えていただくことが上達の早道と考えています。

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何回か1本で繰り返したのちに少しずつ本数を増やして結んでいきます。

通す順番は理解されているので、こんどはキレイに仕上げていくことに集中していただきます。 

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皆さん、無事に完成させることができました。

(おひとり途中で失敗されて時間内には間に合わなかったのですが、結び方はきちんとマスターされています)

キットの中にはストラップもはいっているので、すぐにかばんや鍵などにつけて楽しむことができます。

 

~最後に~

当方が直接オンラインで外国人の皆様にワークショップを開催するかどうかはまだ決まっていません。

基本的に当方のワークショップに参加頂いた方がキットを使って教えることはOKにしています。

(一度もワークショップには参加せずにキットだけを購入して教えることはご遠慮いただいております。)

教えるに際してのポイントや注意点をお伝えして、質問にお答えしてワークショップは無事終了しました。

今回想定よりも多い人数でワークショップを開催しましたが、繰り返し復習をすることでそれぞれの進み具合を合わせられて、全員が完成させる道筋がつけられたことは当方にとって大きな収穫となりました。

また、参加頂いた方がどうやってこの水引結びを紹介して進められるかも気になります。

キットには、オンラインでは紹介していない梅結びの結び方のテキストも入っています。

そして、今後も他の結びのキットを日本語と英語と両方企画して販売していきたいと考えています。

どんどんいろんな人に水引の魅力が伝わっていただけるように今後も商品やブログや動画で紹介していきますね。

オンラインワークショップにご興味あるかたはこちらからお申込みいただけます。

shop.thewashi.tokyo



   

#Mizuhiki #knot #Washi #WashilaboTOKYO #handmade #Traditional

 

 

 

和紙の原料から新芽がでてきました。~春編~

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

和紙作りは冬仕事と言われています。

原料の収穫や下準備などは気温が低い季節に済ませておくことが多いからです。

ただし、原料を栽培していると季節それぞれに作業があります。

春の時期は芽吹きの季節です。

どんな作業をしているかをご紹介します。

 


 

~楮(こうぞ)~

楮だけでなく植物は春は芽吹きの季節です。

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冬場に刈り取った株からまた新たな芽が出てきます。

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同時に雑草も生えてくるので余計な養分をとられないように草取りをしなければなりません。

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成長はそれぞれでこちらはようやく新芽が出始めました。

和紙作りで刈り取るのは1年で伸びた枝(幹)です。

無事に成長して今年の冬(来年早々)に刈り取っていきます。

これからの成長が楽しみです。

(残念ながら1枚目の枝は鳥についばまれたのか取れてしまいました…。(´;ω;`)ウゥゥ
また芽吹くのを待つしかありません。)

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こちらの株はすでにこんなに新芽が出て若葉がここまで成長しています。

ショップ近辺で栽培しているのはプランターです。

地植えならば、そのまま成長を見守れますが、プランター栽培だと土が限られています。

栄養の奪い合いになると幹自体が細いままの成長になってしまいます。

和紙作りに必要なのは幹が太く肉厚な木皮です。

よって、枝を間引いて太らせていく必要があるのです。

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株の根本部分にもしっかり日光が入るようにすることも大事な役目です。

さらに成長したときに枝同士が邪魔になっていないかを見ながら成長を見守ります。

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楮(こうぞ)にもいくつか種類があって、花や実がなる木もあります。

ちょうど今日咲いているいるのを見つけました。

これは楮(こうぞ)の花から実へ成長している最中です。

かなり不格好ですね…。

ここから赤くなってやがて種になり、土に落ちます。

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これが昨年種から成長した若木です。

和紙作りに使えるのは3年以上成長したものです。

すくすく育っていますが、あと2年成長を見守っていきます。

だんだん、大きなプランターで移植していきますよ。

 

トロロアオイ

 トロロアオイも和紙作りには外せない植物です。

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春のこの時期に種まきをします。

直接土に植える人もいますが、うちでは水に漬けて新芽が出てから植えます。 

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昨年の中途半端な時期に植えたものはすでに新芽も若葉も出てつぼみも出てきました。

通常は夏の暑い時期に開花するので、だいぶ早いです。

トロロアオイはアブラムシがよくたかるので暑くなるこれからの季節は毎日手入れが必要です。

ショップの隣に鉢を置いているので近所の方々の目の保養になっているみたいです。

これから土に植えるものは花や実をつけさせないで根を優先に成長させていきます。

また、トロロアオイは野菜でもあります。

スーパーなどで販売されているオクラにとても似た実ができますし、花も食べることができます。

当ショップでは種も販売しているので、私もぜひ育ててみたいという方はお問い合わせください。(1房(約30粒)から販売しています)

 

~最後に~

 和紙が何から作られているかご存じない方もたびたび見かけます。

だからこそショップ前で実際に原料の成長が見ていただけるように栽培を始めました。

コロナ過でなかなかショップに遊びに来ていただくことは難しいと思いますが、

記事を通していろんな人に原料や和紙作りの作業を知って頂ければと思います。

山の中でなくても下町の片隅でも和紙を栽培から行っていることを知っていただけると嬉しいです。

今後も途中経過をご紹介していきます。



   

#手漉き和紙 #papermaking #Washi #WashilaboTOKYO #handmade #Traditional

 

 

 

新しい道具で和紙を試し漉(す)きをしました

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

当ショップでは、小さなサイズの和紙をメインで販売していました。

しかし最近お問い合わせいただくのは少し大きめのサイズの要望が多かったので、

大きいサイズも作れるため道具(簀桁すげた)を注文しました。

作る和紙によっては道具を変える必要があるので、2種類用意しました。

まずは、どんな道具でどんな和紙を作るものかをご紹介します。


 

~A3ノビサイズの流し漉(す)き用~

 

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A3ノビサイズは、約W490×H320mmです。

竹を細くして簀にした道具を使用します。

流し漉きとは、薄い和紙を作る際に用いる漉き方の一つです。

テレビなどで紹介されている和紙作りではこの漉き方を紹介されています。

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ちょっと原料が少なくてちょっとムラが生じてしまいました…。

あと、この取っ手が慣れなくて、最終的には端を持って漉いていました。

ちょっとサイズが大きくなると感覚が変わるので慣れが必要です。

写真では、ほとんど漉けていないように見えますがきちんと和紙の原料は簀に乗っています。

 

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水中では透明に見えても乾燥させるとしっかり和紙が出来上がっています。

当ショップで販売する一番大きなサイズになります。

 

~半紙、A3サイズの溜め漉(す)き用~

 

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次は、厚い和紙を作るための道具になります。

ステンレス網で作った道具です。

こちらは、半紙サイズ(B4サイズと同等)とA3サイズを用意しました。

溜め漉(す)きとは、原料をすくって揺らしながら均一にしていく漉き方の一つです。

竹でできた簀でも葉書位の厚みならば問題ないのですが、それ以上の厚みになると重さに耐えられなくなるのでこのメッシュ網を使用します。

まずは半紙サイズから試します。

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実は、台東区蔵前にある寄木細工の職人さんに作って頂きました。

初めて作って頂くので、何度か修正をお願いしてようやく完成しました。

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さきほどの流し漉きの状態とは違って、たっぷり原料が簀の上にのっていますね。

この道具も細部にいろいろ工夫されていてとても使い勝手が良いです。

こだわって発注してよかったです(;^_^A

また、新品なので木の香りがして楽しいひと時となりました。

次はA3サイズの溜め漉(す)きです。

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こちらは別のところから調達したものなので、構造がちがいます。

どれもバラバラなので、しっかり手で固定しないと綺麗に漉(す)けないので、気合が入ります。

ちょっとズレが生じてしまい、多少寄れてしまいましたが、なんとか漉くことはできました。

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こちらは、本来廃棄してしまう原料の茶色の木皮をあえて入れて作りました。

これを「チリ(塵)入り和紙」と言います。

だいぶ厚みのある和紙ができました。

 

 

~完成~

 

最近、風があって暖かいので1日で乾きます。

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大きいサイズは、乾燥機に入らないので自然干しになります。

また、ショップ内ではスペースが狭いので外で漉(す)きます。

車通りが少ない休みの日にメインで作業するため、大量に注文される方は少々お時間頂きます。

また、通行人の方も和紙を作っているのをご存じの方は「めずらしい」と言われ、

何を作っているか分からない方は、怪訝そうなお顔で無言で通られます(;^_^A

まだまだ道具に慣れていなかったり、原料と水などの配合が定まらなかったりで少し安定していませんが、様々な用途でお問い合わせやご注文を頂けるように今後していきたいと思っています。

当分は、大きいサイズはショップ内だけで販売予定です。

興味がある方は、ご来店もしくはお問い合わせいただけますと幸いです。

無地だけでなく染めや野菜入りなどの加工和紙も充実させていく予定です。

 



   

#手漉き和紙 #papermaking #Washi #WashilaboTOKYO #handmade #Traditional

 

 

 

オンラインイベントで東京和紙について語らせて頂きました

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

先日、オンラインイベントで東京和紙についてお話させていただく機会を頂きました。

何を話せばよいかいろいろ迷いました。

オンラインということもあって、実際の商品や和紙を触れていただくことはできません。

ただ話すだけではなく、参加されている方々の関心はどこにあるかをぜひ聞いてみたいということでいくつか質問をさせていただきました。

当日は、きちんと説明できなかった部分もあるので、いくつかまたこのページでお答えさせていただこうと思います。

まずは、どんな感じだったかをご紹介します。


 

~シェア街dentou庵主催のオンラインイベント~

 

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きっかけは、当方のオンライン和紙作りワークショップにご参加いただいたことがはじまりでお話を頂きました。

このdentou庵の背景は以下のようです。

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簡単に明記しますが、下町や伝統工芸を広めたいという考えに賛同して今回お話させていただくことにしました。

dentou庵の詳細はこちら

note.com

下町と伝統工芸と和紙のつながりはやはり「浅草紙」です。

この話と東京和紙ならではの海外でのエピソードも中心に話そうと考えました。

浅草紙に関しての詳細はこちら

thewashi.tokyo

あとは、当方の手すき和紙製法の流れをまとめた動画もご紹介して他の和紙屋さんとの違いなどを見ていただければと考えました。

youtu.be

 そのほかは、参加者からの質問やこちらからの質問で時間内におさめていこうと想定していました。

 

~当日はハプニングだらけ~

準備段階で、動画の音声が流れず止まってしまうハプニングが…。

仕方なくHPの画像を使って説明することにしました。

一番見て頂きたかったのに、残念。

今後は改善が必要と反省。

なんとご参加いただいた人数は約30名(申し込みでは40名あったそうです)

これだけ関心をもって頂けたのはとてもうれしいことです。

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許可を頂き撮らせていただきました。

北は北海道から下は愛知、和歌山からご参加頂きました。(目視の限り…)

これはオンラインならではのメリットですね。

特に多かったのは千葉県の方々で、横浜や東京の方もいらっしゃいました。

 

~質問1:ここ1年で和紙に触れたことがある方は?~

 和紙について話すまえにどうしても聞きたかったことです。

結果は、半分半分くらいでしたが、ちょこっと「いいえ」の人が多かったようです。

(でも「いいえ」と言っている方も実際は触れているんですよね…。

理由はご参加いただいた方々に説明させていただきました)

 

~質問2:質問1ではいと答えた方は何で手に取りましたか?~

 こちらも気になる質問で、意外な回答でもありました。

折り紙、紙漉き体験は想定しておりましたが、名刺入れ、懐紙や箸置き、筆箱などは意外でした。

皆さん、身近で和紙に触れていらっしゃいました。

和事を習っている方も多かったのかもしれませんね。

 

~質問3:和紙はどうやって作られているかご存じの方は?~

 こちらも半分半分のご意見に分かれました。

当然、和紙は何から作られているかもご存じの方も同様の人数だったように思えます。

ここで、手すき和紙の製造工程を説明しました。

途中、音声が切れるというハプニングが起こり、口頭の説明だけで進めるのがちょっと残念でした…。

途中、クイズ問題を出しながら進行し、浅草と東京和紙でもっとも重要な浅草紙について説明しました。

これも本来はHPを見ながら説明したかったのですが、昔の浅草紙を模倣した和紙を見せながらお話しました。

 

今はコロナ過で中止しているのですが、浅草紙の歴史をたどる街歩きツアーを開催しているので、落ち着いたらぜひご参加いただけると嬉しいです。

 

~参加者からの質問:和紙と洋紙の違いはなんですか?~

参加者の皆さんからも質問を頂いたので、ここで改めて説明したいと思います。

和紙といってもいろんな和紙があります。

当方は楮(こうぞ)という植物から手作業でつくっている手すき和紙ですが、他にも機械で製造していたり、別の材料などを混合して作っている和紙もあります。

なので、一概で違いを見分ける方法というのは難しいと思います。

その中でもわかりやすいのはまずちぎってみることです。

和紙は基本的に植物の木皮の繊維のみで作られているため、とても繊維が長いです。

洋紙の場合は、パルプなどを粉砕して接着剤で固めてシート状にしたものが大半なので、繊維がとても短くすぐに破けます。

あと洗濯してみるのもわかりやすいですね。

レシートを洋服のポッケに入れっぱなしで洗濯機に入れてしまった経験がある方はすぐにお分かりだと思います。

 

~参加者からの質問:海外で和紙を作ることは可能ですか?~

 上記にも明記しましたが、和紙にも種類があるのでここでは古くから伝わる手すき和紙を作れるかどうかでお答えします。

地域によっては可能ですが、大半は難しいと思います。

なぜなら水が違います。

日本は軟水なので薄くなめらかな和紙を作ることができます。

アメリカ、ヨーロッパ、中東系は硬水のため、和紙作りに大事なトロロアオイのネリ(粘り成分)が効きません。

当方も昨年海外で和紙作り実演やワークショップをする際は、軟水の水を購入して混合して開催しました。

また、原料を何を使うのかにもよりけりです。

基本的に楮(こうぞ)などの和紙原料は全世界に原生してるわけではないので、植物が変われば製造方法も変わります。

中国から紙作りが始まり、日本へは薄い和紙を作る技術が向上し、ヨーロッパ系には厚みのある紙作りが伝播しました。

よって、どんな紙を作るかで答えも変わります。

 

~参加者からの質問:和紙で絵本は作れますか?またコピー用紙はありますか?~

国産原料で作った手すき和紙で作るならば高額な値段になります(;^_^A

また、基本的に和紙は印刷には適しません。

繊維の問題です。

和紙は毛ば立ちやすいので、印刷機のローラーに繊維が絡まり止まってしまうリスクが高いです。

また、紙糞(しふん)といって繊維のカスが表面に残ってしまうので印刷しても白点のように剥げてしまいます。

ただし、原料は問わず機械で漉いた和紙で印刷している工場があります。

当方でもそこで和紙千代紙を製造したことがあります。

そこならば印刷できるので、絵本を作ることは可能です。

また、同様に家庭用プリンターに適したインクジェットやレーザー用和紙も他社からいくつか販売しています。

コピー用紙までは安価ではありませんが、普通にプリントすることは可能です。

 

~質問4:これが和紙で作られていたら手に取るかもと思うものは何ですか?~

そろそろ時間が迫ってきたので、もっとも重要な質問をさせていただきました。

特に最近和紙に触れたことがないと答えた方に聞いてみたかったのです。

今回は、触れたことがある方も含めて答えていただきました。

名刺、財布、パスケース、かばん、上着、家具、食器などなどでした。

中には「食べられるものがあったらいいな」と回答されている方もいらっしゃいました。

皆さんが答えられたもののほとんどが和紙でも作られて販売しています。

当方でもパスケース、かばん、名刺も作っていますし、座布団も作っています。

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サンプルでは、酒器、ソファー用の和紙も作りましたし、他社では洋服を和紙で作っていますし、もともと日本では「紙布(しふ)」や「紙衣(かみこ)」と言って和紙で作られた着物などがたくさんあります。

食べられるものといえば、当方では「食す和紙プロジェクト」も行っています。

今は、コロナ過でできていませんが「食す和紙ワークショップ」も開催しています。

 

~最後に

時間ギリギリまでお話させていただきましたが、まだまだ伝えきれていないこともたくさんありました。

最後に和紙に関する言葉があるのでいくつかご紹介してイベントは閉幕となりました。

私が一番に伝えたかったのは、購入者側も気にして情報をキャッチする力をつけてほしいということでした。

当方だけでなく他の和紙屋さんもあらゆる方法でみなさんに情報を提供しています。

当方は、このWEBサイトだけでなく、SNSもほぼ毎日更新していますし、実店舗も運営しています。

そこには和紙や水引に関する情報や商品をお伝えしています。

当初「和紙の活用方法を教えてほしい」という質問に答えてほしいといわれたのですが、違和感を感じていました。

たくさん発信しているのにも関わらずその質問で何を求めているのかが分からなかったからです。

なので、あえてこちらから質問4を提示させていただきました。

結果は、存在している商品ばかりでした。

だからこそ受け身だけでなく関心をもって収集していただけるようにと切に願います。

需要と供給がバランスよくなければ、和紙だけでなく伝統工芸は廃れていく一方です。

これをきっかけに興味をもって行動していただけることを願うばかりです。

当方もどんどん情報を発信して受け取っていただけるように精進します。

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最後までお話を聞いていただき、本当にありがとうございました。



   

#papermaking #Washi #WashilaboTOKYO #handmade #Traditional

 

 

 

野菜入り手漉き和紙ラインナップ~その1~

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

最近、テーマとなっている野菜入り和紙作り。

廃棄寸前の野菜を新たに和紙にして役目をはたしてもらおうと思い、

実験を繰り返しながら作っています。

いままでいくつかチャレンジしてきました。

ここで今までどんな野菜やフルーツを試したかをまとめたいと思います。

ポストカードや薄い和紙も販売しているので、ご興味あるかたは是非ショッピングサイトをご覧ください。


 

~野菜入り和紙ラインナップ~ 

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去年の7月から定期的にチャレンジしてきました。

きっかけは、新型コロナウィルスでした。

売れ行き商品ががらりと変わってしまったり、飲食店などの自粛休業などで野菜の廃棄量が増加したというニュースを目にしてから試作し始めました。

よって、使用している野菜はすべて見切り品の廃棄寸前の野菜です。

これはまずルールとなりました。

 

~アスパラガス~

和紙にするにはまず繊維が強いものから始めることにしました。

その中で選んだのがアスパラガスでした。

廃棄寸前のものは水分がなくなってちょうど良い具合に繊維だけが残っているので和紙には合っていると思った次第です。

アスパラガス入りの和紙作りはこちらをご覧ください。


www.youtube.com

最初はどれくらい煮ればよいか、どうやって処理をすればよいのか全く見当がつかなかったので、見よう見まねで試してみました。

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しっかり黄緑色のアスパラ繊維が残って無地和紙の中に混ざってくれました。

約半年経過しましたが、変色もなくそのままで残っています。

反省点としてはちょっと煮すぎと繊維を短く切った方が良かったです。

おかげさまで完売となりました。

次回また制作するかは、検討中です。

 

~キャベツ~

続いてキャベツにチャレンジ。

アスパラガスと同じくらい煮たら、繊維が粉々になってしまいました。

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キャベツの原形は全く残っていないので、言われないと分からないかも。

しかし、文章やイラストを描くには目立たなくてよいかもしれません。

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反省点は、もっと色が濃いキャベツの葉っぱを使用するのと煮る時間を考える必要がありました。

こちらはネットでも販売しております。

shop.thewashi.tokyo

ごぼう

繊維が強い野菜といえば、ごぼうを思い出しチャレンジしました。

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やはり長時間煮ても繊維がきちんと残っていました。

これを叩いて繊維を細かくして和紙を漉(す)いていきました。

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一番、ごぼうっぽい雰囲気が残る和紙になりました。

偶然ごぼうのスタンプがあったので捺印してみました。

この素朴感がいいですね。

こちらは、残り1枚のため店頭のみで販売しています。
 

~すだち~

野菜だけでなく、フルーツ入りの和紙にもチャレンジしてみました。

最初はすだちでした。

繊維ではなく、皮に注目してさわやかな和紙を作りたかったのですが、1回目は見事に失敗…。

2回目も失敗し、3回目でようやく希望の和紙を作ることができました。


リベンジ!すだち入り和紙作りに再挑戦!

柑橘類なので、どうしても香りがする和紙を作りたかったのです。

完成して2か月くらい経ちますが、まだほのかに香っています。

是非、リラックスしてみませんか。

こちらもおかげさまで残り1枚となりましたので、店頭のみの販売となります。


~青菜(ターサイ)~

香りの次は色にテーマをもっていきました。

そこで色が濃い青菜でチャレンジしました。


実験!綺麗な野菜色の和紙を作ろう!

予想以上に緑色が残って1回目に漉いたものはあっという間に売り切れてしまいました。

2回目に漉いたものは少し緑色がうすいですが、それでも淡い緑色が残った和紙になりました。

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なぜかお茶の香りがする和紙にもなりました。

薬品による色止めはしていないため、自然に色は退色していきます。

自然の変化を楽しんでいただければと思います。

香りはずっと保っていますよ。

   

~茄子~

色の濃い野菜シリーズは続きます。

次は茄子の皮でチャレンジです。


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濃い紫を期待したのですが、全く色が出ませんでした。

しかし、皮の繊維が強く、違う意味で味わい深い和紙が完成しました。

shop.thewashi.tokyo 

~ぶどう~

色について、草木染の方法を参考にして作ることにしました。

そこで、ぶどうの皮は染色しやすいといくつかの資料に明記されていたので、さっそくチャレンジ。


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布と和紙では勝手がちがうので、自分なりの考察も入れながら作ってみたら、染色した和紙が完成しました。

shop.thewashi.tokyo

 

~最後に

今後も色にこだわってチャレンジしたいと思っています。

また、フルーツ系は香りも長い時間ほんのりする和紙を作れるようになりたいと思っています。

手にした人が香りや色合いで心がほっこりして書くだけでなくコレクションしたくなるような和紙を目指していきます。

葉書だけでなく、何か作品作りをされたい方向けにA5サイズの薄い和紙もそろえています。

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薄いので、包んだりちぎって絵を作るのも素敵ですね。

現在、ショップでの販売のみとなっているので徐々にネットショップにもあげていく予定です。

使い方などの紹介も今後していきたいと思っています。

まだまだチャレンジは続きます。

今後も温かみのある自然な色合いの和紙を作っていく予定です。 



   

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作家さんやアーティストさんが東京和紙を使って作品作りしています。

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

最近、作家さんやアーティストの皆さんが東京和紙を使って作品作りをされる方が少しずつ増えてきました。

お問い合わせも定期的にきております。

他にはない魅力を感じていただけて大変うれしいです。

どんな風に作品にされているかをご紹介したいと思います。  


 

紙切り芸人~

 以前にご紹介した紙切り芸人さんがうちの和紙を使って高座に出演されています。

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詳細はこちら

www.tokyowashi.com

 普通の和紙と違って、本来白い和紙には入れない緑色のあま皮をミックスさせています。

また、切る際に和紙が立ち上がるように少し厚めに漉(す)いています。

なかなかコロナ過で足を運べないかもしれませんが、ぜひご覧頂きたいです。


www.youtube.com

 

~切り絵~

 RIEKOさんという切り絵アーティストさんがうちの和紙を使って作品を作られました。

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今回は、背景の和紙として東京和紙を使って頂きました。

見事な作品です。

一瞬描いた絵や版画だと思ったのですが、黒い部分が切り絵になっています。

作品の中の方は、茶人の北見宗幸さんだそうです。

Instaglamに作品とお写真が一緒に投稿されているのですが、そっくりでした。

東京和紙は化学漂白を一切しておりませんので、楮(こうぞ)本来の白さになります。

この和紙は、チリ入り(あま皮や鬼皮が少量含まれていること)和紙となっているので、さらにオフホワイトですが、それがまた茶人の人柄をやわらかい印象にさせていると思います。

今後は、ぜひ色付きの東京和紙で作品作りをしていただけると嬉しいです。

RIEKOさんの詳細はこちら

moga-mogador.com

Instaglam

https://www.instagram.com/mogasupa/?hl=ja
 

~コラージュ・カリグラフィー~

 書道アーティストの粋雪さんの作品です。

当ワークショップにご参加頂きご自分で作った和紙を使って作品を仕上げられました。

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なんと、手帳にくっついていてそのままが作品となっているそうです。

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右側の作品にもご自分で作られた和紙をちぎって貼り合わせて仕上げられたそうです。

渋谷のお店に飾られているそうです。

テーマをうかがったところ、(以下転送)

「テーマは、『夢』、『ぬくもりのある時間』です。

新しい文化やカルチャーが生まれる場所である渋谷という場所に置く作品。多様化となり、変わりゆく時代の中でも、変わらずにあってほしいものがあるという私の願いも込めて表現しました。

私の中では具体的な景色がありますが、見てる人に想像してもらいたいと、あえて抽象的に仕上げています。」

ではなぜ東京和紙を使おうと思ったかということろは、

「栽培から人の手を使ってできたものを使い、人の手のぬくもりもここに残せていたらいいなと思ったからです。」
嬉しいお言葉です。
きちんと東京和紙の活動に賛同いただいて作品作りにメッセージを込めていただけたこと大変感謝しております。
ワークショップの模様はこちら
  

~ディスプレイ~

 和紙だけではなく水引もアートに使用されています。

しかも日本だけでなく、海外からオファーを頂き納品させていただきました。

NYの施工会社から問い合わせ頂き水引の梅結びを注文頂きました。

木箱にオーナメントとして使用したいということでした。

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ネイティブな英語メールと日々格闘しながらなんとか先方の希望通りのものを納品できてうれしかったです。

展示されているところを見たいのですね…。

 

~ほかにも~

 他にも問い合わせなどで、折り紙、書道、ペーパークイニング、表装などをされている方々からも頂いております。

変わったところでは、以前ソファーを作りたいからサンプルを作ってほしいという家具屋さんからもお問い合わせ頂きました。

 昨年あたりから完成した商品ではなく、和紙や水引本来の注文や問い合わせが増えてきています。

当方としてはどちらも充実させてあらゆる用途でも対応できる東京和紙を提供していきたいと思います。

ご興味ある方は、ぜひお問い合わせかご来店いただくことを心よりお待ちしております。
   

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