こんにちは。
ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。
先月、海外の留学生向けに手すき和紙作りワークショップを開催しました。
過去私自身が海外に出向きワークショップを開催しましたが、来日されて当ショップでワークショップを開催するのは実は初めてです。
コロナ禍になり、外国人観光客などもパタリと消えてしまった約2年間。
ようやく規制も緩和されていろんな国の方々が日本に来ていただけるようになりました。
今後はインバウンド向けにどんどんワークショップを開催していきたいと思っていいます。
では、どんなふうにワークショップが展開されたかをご紹介します。
~今回は韓国人の留学生たちが参加~
「神田外語キャリアカレッジ」の生徒さんたちが参加されました。
彼らは、日本語でのスピーチコンテストで優秀な成績をとり選抜で日本に来日したそうです。
なので、私も日本語で説明できるのは安心でした。
(それでもあまりむずかしい言葉を使わないように意識しましたが、どこまで理解頂けたかは…(;^_^A)
実は、こちらの学校さまとは2年ぶりのワークショップ開催なんです。
前回は2020年12月でコロナ感染真っただ中だったため、オンラインで和紙に描かれた文様を紹介するセミナーでした。
詳細はこちら
thewashi.tokyo
非常に内容が好評だったということで、次回は実際に和紙作りを体験させたいというご要望で2年ぶりに今回実現することができました。
参加される学生たちも感染することなく予定通りの人数で体験できるのも今後に向けて一歩前進した想いです。
参加者は18名のため、当ショップでは入りきらないので、歩いて10歩のところにある町会会館を借りて開催しました。
近いと何か取りに行くにも便利なので、今後もこちらの施設を借りて開催していきたいと考えています。
~いよいよワークショップスタート~
道具の数も限りがあるため、3人1グループに分かれてそれぞれの道具を共有して作っていきます。(今回は6グループ)
当ワークショップでは作った和紙を乾燥してお持ち帰りできるようにしています。
そのため、機械で乾燥させるのですが枚数が多いの時間がかかってしまいます。
そこで、先に和紙を漉く工程からスタート。
効率よく進めていくため、すでに個包装された和紙原料を参加者全員に配布します。
(和紙の作り方資料は日本語と英語が記載されているので海外の方でもご理解いただけるようになっています)
まず、1番目の人は水が入ったボウルに原料を入れて攪拌します。
今回、ご要望でお役目が終わったおみくじ入り和紙ということなので、クラッシュしたおみくじを混合した原料になっています。
みんな、ちょっとおっかなびっくりでかき混ぜていますよ。
なので、もっとリズミカルに原料がかき混ぜるようにと指導しました。
和紙作りに大事なネリの投入は私の方で廻っていきます。
粘り気が不思議そうに感じる人も中にはいました。
あまりここでかき混ぜてしまうとネリの効き目が弱くなるので、ほどよいところで漉きの工程に続きます。
ここで3人グループの役割が出てきます。
1番目の人は「簀桁(すげた)」という和紙を漉く道具を持って揺らします。
2番目の人は原料が入ったボウルをどんどん簀桁の道具の中に静かに流しいれていきます。(回数分けて)
3番目の人は、その作っている光景を写真撮影もしくは2人のサポートに回ります。
こうすれば、スムーズに工程が進んでいきますし、自分たちが作っている風景も写真に撮れて一石二鳥ですね。
今回は「流し込み漉き」という方法で和紙を作っています。
いかに揺らしながら均一な厚みに漉けるかがポイントになります。
これを順番に分担を変えて全員分漉いていきます。
次は、先に配布しておいたお役目が終わったおみくじを飾り付けます。
お役目が終わったおみくじ入りは当方オリジナル和紙なので、とても貴重な和紙になると思います。
慎重に飾る人、思いつくままに飾る人などなど性格が出ますよ。
そして、ある程度水が切れたら道具から漉いた和紙を開けて圧搾するのは当方が請け負います。
ここをどんだけスムーズに進められるかがとても重要でした。
ボウルが空いた状態ですぐに撤収して、水を入れて次の人がすぐに原料を投入できるようにスタッフの連携をとりながら進めていきます。
簀桁が空けば次の人は漉きの工程まで進めることができるため、その間に当方としては乾燥機にセットする時間ができます。
1番目の人が漉き終わったら圧搾して乾燥、そして2番目、3番目も同様に進めていけたことでかなり時間を短縮することができました。
乾燥機は2台使用して熱がなるべく下がらないように注意しました。
~原料作りの実演~
2番目、3番目の和紙を乾燥させている間にどうやって和紙が作られるかの実演をしました。
事前に和紙について勉強された方も中にはいらして、こちらから質問してもお答えできる方も多かったです。
生徒たちは着席して話を聞いて頂きます。
まずは、和紙原料の楮(こうぞ)の木皮を白皮にする「表皮とり」工程を実演。
使用した原料はショップ前で栽培したものを使用しています。
(つい2週間前くらいに刈り取ったものを使用、新鮮だとスルスル綺麗に剥けました。)
席が多い人には見えにくい部分もあるので、実際の原料を持って目の前で剥いて紹介、中にはどんな感じか触ってみたい人もいました。
白皮を煮る「煮熟(しゃじゅく)」工程やゴミや傷を取り除く「ちりとり」工程は口頭で説明し、次に繊維を細かくほぐす「打解(だかい)」工程を実演。
ちょっと時間に余裕もあったので、参加者全員に軽く叩いていただくことにしました。
時間と費用に余裕があるならば、この原料作りも体験頂くことは可能です。
今回も表皮とり工程をゲーム方式で体験頂く予定でしたが、時間の都合上見せるだけとなりました。
配布した資料を見ながら説明を聞きながら皆さん和紙の知識を深めていかれました。
次に「浅草紙」について説明しました。
昔、使い古した和紙を再利用して作られる紙が浅草で産業として多く作られていました。
今でも使われる「冷やかし」は、この浅草紙が由来とも言われています。
数日後に浅草にも訪れるということだったので、和紙と浅草とつながりを説明させて頂きました。
詳細はこちらをご覧ください。
thewashi.tokyo
また、和紙は書くだけでなくいろんな用途で使われていることもご紹介。
幅広い可能性があることを知って頂けると嬉しいですね。
実演や話も終わってきたころに和紙も乾燥して完成しました。
皆さん、出来上がりに満足?されたご様子でした。
だれがどの和紙か分かるようにカタカナかひらがなでお名前を書いて頂きました。
みなさん、達筆でしたよ。(写真では個人情報になるため隠させて頂きました)
最後に自分の和紙作品を持って記念写真を撮らせて頂きました。
日本に来てよい想い出になってさらに和紙にも日本にも関心が高まるのを願うばかりです。
~最後に三毛猫兼招き猫を紹介~
ワークショップ最後には当ショップに立ち寄って頂き、うちの看板猫でもある「かみちゃん」を紹介。
正直、和紙よりもめちゃくちゃ皆さんの反応が良かったです。
韓国でも猫はたくさんいるけれど、三毛猫はいないらしいので日本を代表する猫種かもしれません。
そして、招き猫も日本独特のものです。
和紙(千代紙や友禅和紙)にも多く描かれています。
日本の風習でもあるので、人形ではなく実際の猫をモデルに説明させて頂きました。
かみちゃんが嫌がったらどうしようかと心配しましたが、ずっと一人留守番でさみしかったのか、はたまた寒かったのか嫌な抱っこでもずっと大人しくしていてくれました。
(大勢の人でびっくりしているかもしれないので、触れるのはなしでお願いしました)
これで、ワークショップ全体が終了しました。
~まとめ~
今回は、初の試みをたくさんさせて頂いたワークショップでした。
(町会会館の利用、看板猫の紹介、団体受け入れなど)
予定していた想定時間よりも30分も早く終わらせることができたのもオペレーションがうまくいった結果だと思います。(想定は2時間半でしたが、実際は約2時間)
当日、お手伝い頂いた当ショップスタッフ、そして今回の開催に向けて窓口になって頂き当日もお手伝い頂いた学校関係者の皆様、本当に感謝しております。
看板猫かみちゃんにもみんなに愛嬌ある姿を見せてくれたことも感謝です。
(ご褒美にごはん多めにあげました)
ちょっと反省点としては、もう少し留学生たちと交流ができれば、もっといろんな話題を紹介できたかもしれません。
また、なぜ和紙作りに関心を持ったのかを参加している人たちの率直な意見を聞いてみたかったです。
今後は改善していきたいと思っています。
さらにインバウンドのお客様にもどんどん対応できるようにこちらももっと準備や宣伝などを充実させていきたいと考えています。
ワークショップにご興味ありましたら、ぜひお問合せ頂ければ幸いです。
なお、手すき和紙作りワークショップの詳細はこちら
shop.thewashi.tokyo