こんにちは。
東京和紙の篠田です。
今回、珍しい注文を頂いたのでご紹介します。
いままでは、書道用、折り紙用、アート用の問い合わせやご注文は頂いていました。
(変わったところではソファー用という問い合わせもありましたが…)
紙切り用のご注文は今回初めてです。
どんな和紙がご要望なのかなどをご紹介します。
今年の9月頃、ショップ「和紙ラボTOKYO」にいらっしゃったのがきっかけでした。
(事前にHPをご覧頂いたそうです)
切り絵用の和紙を探しているとのことでした。
当方でも和紙ハロウィンランプで和紙を切り絵するので、柔らかな薄い和紙がご要望なのかと思いました。
(固い和紙だとカッターで切りにくいため)
しかし、違うようです。
なんと、この方紙切り芸人さんではさみで一筆書きのように形に切っていくためある程度厚みが必要とのことでした。
いくつかサンプルをお見せしたなかで、真っ白ではないチリ入り和紙が気に入られました。
チリ入り和紙とは?
本来、和紙は白くするために原料の木(うちは楮(こうぞ))の白皮しか使用しません。
皮は3層になっていて外側の茶色の鬼皮、中間の緑色のあま皮、一番内側にある白皮となっていて基本的には鬼皮、あま皮は使用されません。
ただ、アート用なのであえて使用しないあま皮などを入れて作ることもあります。
これが、チリ入り和紙です。
厚みもサンプルを渡して実際に切って頂き決定しました。
緑色の筋みたいなものがあま皮です。
細かいはさみさばきで切ったところもちぎれていませんね。
ここに厚みが関係するのだと実感しました。
切り抜いた絵と切り離された和紙です。
どちらも絵になりますね。
これを1分以内位ではさみで切るのですからすごいです。
もちろん、下書きもありません。
どんな風にうちの和紙が使用されいているか実際に納品もかねて高座を拝見させて頂きました。
この方がご注文頂いた紙切り芸人の林家楽一(はやしやらくいち)さんです。
林家楽一さんのHP
本番前に無理を言って撮影に協力してくれました(^^;)
当和紙の切り絵を持って頂いているのですが、へたらないですね。
今回、上野にある鈴木演芸場にお邪魔させて頂きました。
うん十年前にイベント会社に勤めていましたが、寄席に伺うのは今回が初めてです。
とても趣ある建物でした。
今回出演される楽一さんのポスターです。
お姿が今と違いますね…(^^;)
残念ながら建物内や高座の撮影は禁止されているため、文章で説明させて頂きます。
切った切り絵をスクリーンに映して影絵のようにお客様に披露していく流れでした。
最初、切り絵の見本として当和紙で芸者さんをはさみで切っていらっしゃいました。
なんと、お囃子(三味線と太鼓)は生演奏でその中で次々にリズムよく形を切っていかれてました。
2番目からはお客様のリクエストに合わせて即興で切っていかれます。
クリスマス、歌舞伎の暫と続きます。
やはりここでリクエストしなければと思い、思いきって手をあげました。
そして、今話題のあれをお願いしました。
もうお分かりですね。
「鬼滅の刃」です。
「アマビエ」と迷ったのですが、お囃子が生演奏だったので話題になっているものを選びました。
奏者の方たちもちょっと戸惑っている雰囲気はありましたが…。
こちらは、うちではない本来使用されている紙です。
やはり趣がちがいますね。
1高座に対しての当和紙の使用は少ないですが、長く続けて切っていただけることになりました。
今後も各方面、各分野で東京和紙をご利用頂き、話題になってくれると嬉しいです。
また、珍しい用途でも使用はこちら側も挑戦し甲斐があります。
問い合わせだけでも試作は必ず作るようにしています。
似た案件の問い合わせにもすぐに対応できるためです。
どんどん和紙の魅力、奥深さを研究する「和紙ラボTOKYO」を目指しています。
他の案件での問い合わせも大歓迎です。
是非、お気軽にお問合せくださいませ。
追伸:
楽一さんの高座は、上野や浅草だけでなく池袋でも出演されているそうです。
新型コロナウィルス感染防止として、マスク装着、手指消毒して、静かにご観覧くださいませ。