こんにちは。
ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。
約1年ちょっとぶりに学校さまからの和紙作り体験のご依頼を頂きました。
今回は、初の幼稚園です。
今までと違って、職人の漉(す)く作業を園児に見てもらうというのがテーマでした。
イベントなどで教えたことはあるのですが、集中力が続かずいかに興味を持たせるかが苦労しました。
今回はハラハラドキドキでした。
さて、どんな反応だったかもご紹介していきます。
千葉県松戸市にある幼稚園です。
詳細はこちら http://tokiwadaira-yochien.com/
5歳児クラスで開催されました。
先生からは、「一から子供たちと一緒に紙作りを楽しみたい」とのことでした。
開催するにあたって下見と打ち合わせに学園に伺いました。
以前から和紙作りはしていたそうなので、園児たちもどんな植物かどうやって作るかはある程度知識はあるそうです。
園庭には立派な桑の木もあって、桑でも和紙を作ってみたいとのこと。
今回、別の桑の木が病気になってしまったので、刈り取り時期ではないのですが伐採したものがありました。
こちらの下準備はこちらが用意することにしました。
刈り取り、皮むき、叩きなどはすでに体験済ということで、職人が漉(す)くところを園児たちや先生も見て、今後自分たちで和紙が作れるようになりたいということでした。
道具などもすでに手作りのものが用意されているので、当日は原料や給水タオルくらいで軽装で伺うことになりました。
原料を刈り取って皮を剥いた後に煮熟(しゃじゅく)といってソーダ灰を入れて何時間が煮るのですが、うまくいかない様子だったので細かい部分も説明しました。
当日は快晴で、園児たちも休みの子がいないということでラッキーでした。
午前中に開催したのですが、クラスに着いたときにお母さん方から「子供たちがとっても楽しみにしていました」というお声をいくつも頂きました。
大人になってもよい体験をしたと思っていただけるようにせねば。
いざ子供たちにじっと見られながら準備に取り掛かります。
今回は、漉き、圧搾、干しの3工程なので、それぞれにテーブルで島を作って準備をしました。
知らないおばちゃんが来て、見たことのない道具がいくつも出てくるので子供たちからの質問の嵐。
「どこから来たの?」
「何するの?」
「この白いのは何?」などなど聞き取れる質問には答えられたのですが、宇宙語のようなものには笑って過ごしていました(;^_^A
この学校の園児たちは正体不明なものにも興味をもって触ろうとする子供たちが多かったです。
たまにイベントなどで体験する小さな子供の中には、親御さんの後ろに隠れてしまったり水に中に手を入れるのを怖がる子もいるので、物怖じしない子供たちだなと率直に感じました。
先生の説明や紹介があって、いよいよ私からの説明と実演がスタートです。
園庭には原料となる桑や近くには楮(こうぞ)の木もあるので、原料の紹介は簡単にしました。
そして、トロロアオイは野菜でもあって大きな花を咲かせたり、オクラのような実がなったり、食べれたりすることを紹介しました。
また、トロロアオイの根っこの粘りも見せてとっても喜んでいました。
そして、実際に私が漉いて、給水タオルなどで挟んで圧搾して板に干すまでを紹介しました。
この時は、こちらで用意した楮(こうぞ)を原料にしたものを漉きました。
ただ、紹介だけでは園児たちは飽きてしまうので、数名ですが実際に和紙を漉いてもらうことにしました。
先生方とも相談して、6月生まれの子供たちだけ特別ということで体験頂きました。
(他の子供たちは後日全員和紙漉きは体験するそうです)
漉いている最中は、写真が撮れないので道具を持った姿をパチリ。
(親御さんと先生方の許可を頂き、掲載させて頂いています)
背が小さい子には踏み台に乗ってもらって漉いてもらいました。
女の子たちは、みんなの前で体験するのでちょっと恥ずかしそうでした。
残念ながら私自身、この道具に慣れていなくて園児たちの和紙はちょっと空気が入って波ができてしまいました。
自分で漉くのとサポートするのでは加減が違いますね。
私自身ももっと修行せねばでした。
4人漉いた後は給水タオルや板に挟んで圧搾します。
この作業は、漉いていない他の園児も入って全員で押してもらうことにしました。
体験できなかった子たちは一目散に並び始めました。
小さな手で一生懸命押していきます。
端の方だけ押す子もいたので、中心を押すように促していきました。
全体重をかけて長く押す子もいました。
圧搾した和紙を今度は先生方に干して頂きました。
自分たちで和紙作りをする際に一つ一つの作業を覚える必要がありますから、練習もかねて板に干していきます。
次に園庭にある桑を原料にした和紙を漉いていきます。
こちらは量が少なかったので、小さなバケツにこちらが用意した葉書サイズの道具で漉きます。
今度は先生方に漉いて頂きました。
園児の際は私がサポートしましたが、先生方には説明だけで一人で漉いて頂きました。
成長期の桑の木を刈り取って原料にしたため、通常の楮の繊維の長さがなく、粉っぽい状態になってしまったので、すくったらそのまま細かく揺らして水を切る感じでした。
こちらも先生方に干して頂きました。
当日はちょっと風が弱かったのですが、晴れていたので窓の近くで干していたら、薄い部分はすでに乾いていました。
和紙作りには天気が重要なので、とても助かりました。
最後に園児たちがみんなで歌を歌ってくれて体験は終了しました。
準備から和紙漉き、片付けまで終始園児たちは興味を持って頂けたことは紹介する立場にとってはとてもありがたく、うれしい出来事でした。
大人になっても和紙が身近に感じてもらえるようになってくれることを願うばかりです。
先生から完成した和紙の写真を送ってくれました。
キレイに板から剥がすことができたそうで安堵しました。
今度は、先生方と園児たちで楽しい和紙作りができるように遠くから応援したいと思います。
ポイントなどは伝えているので、どんな和紙が完成するかが楽しみです。
余談ですが、一番苦労したのは水道場でした。
もちろん、園児用なので背が低いため水汲みや水捨てなどは腰に負担がかかりました。
私自身も体力作りをしなければと思うひと時でした。
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