こんにちは。
ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。
先日は、久しぶりにショップ内にてワークショップを開催し、
そして、今回はオンラインでの和紙作りワークショップを開催しました。
参加頂いた方は、どちらも初めて和紙を作ります。
まるで料理を作るように手漉き和紙を作って頂きました。
どんな風にワークショップが進んだかをご紹介します。
最後に、薄くて滑らかな和紙の作り方もお伝えします。
今回は、男性お二人がご参加頂きました!
牛乳パックでの紙作りや和紙作りなども参加したことがないということで、
初めて本格的な手漉き和紙作りを体験頂きます。
年齢は20代と30代と違ってそれぞれの感想が楽しみですね。
進行するこちらは、マイクを使用し、手元アップ用と私自身が映るiphoneカメラの2台で進めていきます。
オンラインだとこちらも用意する道具がコンパクトになってテーブル1台で進めていけるのがありがたいです。
オンラインワークショップでは、身近なキッチン道具で本格的な和紙を作ります。
とはいってもすべて自前で用意するのは面倒だったり探したりなどがあると思うので、ある程度の道具と和紙のもとをキットで販売しています。
キットはこちら
和紙作りには、原料の他にもう一つ大事な植物が必要です。
ショップでのワークショップでは、職人が使用する「トロロアオイ」を使いますが、
これをキットで販売するには保管方法や粘り液抽出などなかなか厳しいものがあります。
そこで、オクラを代用します。
オクラの実をきざんで粘り気を抽出します。
参加者のお一人は、ハサミで刻まれていました。
細かくできれば包丁でなくても大丈夫です。
もう一人の参加者さまは、初めてオクラを包丁で切ったそうです。
和紙のもとは、真っ白なものではありません。
茶色の繊維やちりなどを取り除かないで送っています。
よって、この取り除き作業も体験頂きます。
運がよければ、少量で、運が悪ければ大量に入っている場合もあります。
今回もお一人は少なくて、お一人はちょっと多めだったようです。
ここは作業体験なので、ある程度のところで次に進みます。
キットで販売している和紙のもとは、ある程度こちらで下準備をしてすぐに漉けるようにはしております。
ただし、発送する際に真空にしているため繊維が絡まって解れにくくなっています。
それを木棒で叩いてほぐして頂きます。
参加者さまの叩いている風景が見れなくて残念ですが、作業は順調のようです。
オンラインワークショップでは、どの家庭でも楽しんでいただけるようにコンパクトに和紙が作れるようにしています。
実際は、専用の道具で大量の水の中に和紙のもとをいれた舟ですくって和紙を作ります。
しかし、オンラインではその方法をとりません。
上から和紙のもとを流し込んでいく「流し込み漉き」という方法を使います。
この方法ならば、小さなお子さんでも和紙作りできますので初心者の方にも気軽に体験頂けます。
最初に切ったオクラの粘り液を和紙のもとが入ったボールに入れてかき混ぜていよいよ漉いていきます。
専用の道具は使用しないので、キッチンバットにネットを敷いてそこに流し込んでいきます。
便利なのが、このキッチンバットは受け皿とセットで販売していたので、そのまま流し込んでも落ちていく水を受け皿がキャッチしてくれるので楽です。
「どれだけ流し込めばよいのですか?」
と質問を頂いたのですが、これはなんとも言えません。
オンラインだと参加者の作業風景が見えない部分が多くなるので、細かく指示する必要があると今回のワークショップで反省しました。
次回からはカップ〇杯分と指示して作って頂くことにします。
漉(す)き終わったら、付属のカラフルな和紙を使って飾り付けして頂きます。
2種類の方法をお伝えしてます。
一つ目は、自然に乾燥させる方法です。
窓に漉いた和紙をはりつけて一晩経つと乾燥して綺麗な面ができます。
また、飾りガラスなどで乾かすとエンボスが入るのでこれも面白いです。
もう一つは、アイロンです。
アイロンは、スチームにしないで普通に熱くしてコピー用紙などに漉いた和紙をはさんで押しながら乾燥させていきます。
これだとすぐに和紙の完成品が見れるので便利です。
夢中でここまで進んできたように思えます。
それぞれの家で作業しているので、準備や水を捨てたり汲んだりなどでタイムラグがありましたが、無事に完成させることができました。
それぞれの思い描いた手すき和紙が作れたら嬉しいです。
実際職人が作る和紙とは違うかもしれませんが、本格的な作業工程を経て初心者の方がアシストなしでそれぞれの和紙を完成させたのは素晴らしいことだと思います。
ワークショップでは一つの方法をお伝えしたにすぎません。
道具を変えればいろんな和紙を作ることができます。
キットに入っている道具以外を使用すれば、丸い形の和紙も作れます。
クッキーなどの型の中に流し込めば他の形を作ることもできます。
いろんな創意工夫をして楽しんで頂ければありがたいです。
ワークショップが終わった後に、さらに本格的な和紙が作れる方法を思いつきました。
参加者さまにお伝えできていなかったので、ここで簡単にご紹介します。
ポイントは、とろみと水の落下速度です。
上記で作った和紙のもとと水量ではオクラの粘り液が少なかったです。
当初は、雰囲気が伝わればと思って分量を少なくしていました。
しかし、このオクラのとろみが重要ということに今更ながら気づきました。
とろみの分量と水量、和紙のもとの分量を変えると薄い和紙も作れます。
きざんだオクラを水に漬けてとにかく粘り気を抽出します。
小さめのボールに8分目位の水と和紙のもとを入れてかき混ぜて繊維をほぐしていきます。
ほぐした後にオクラの粘り液を多めに入れます。
目安は、玉子の白身のとろみの少し弱めくらいです。
ここでさらにかき混ぜていきます。
とろみが強いと和紙の繊維がだまになりやすいので、よくかき混ぜて細かくしていきます。
キッチンバットにネットを敷いてゆすりながらかき混ぜた和紙のもとを少しずつ流し込んでいきます。
入れている最中も終わった後もずっとゆすり続けます。
ある程度表面がうごかなくなったら止めて水が落ちるのを待ちます。
とろみが強いので、水の落下速度も遅いです。
この速度が遅いことで表面が均一になってなめらかになります。
5分くらい経過したら圧搾して乾燥していきます。
薄いので不織布にくっつきやすいので、ゆっくり丁寧に剥がしてアイロンをかけて乾燥していきます。
(自然乾燥でもOK)
まるで雲竜和紙のような和紙が完成しました。
薄くて表面もとても滑らかなので、書いたり折ったりするのにピッタリです。
この薄い和紙ならば、折り紙でも使えます。
だいぶ久しぶりに折り鶴を作ってみました。
きちんと折れて風合いのある和紙折り鶴が完成しました。
次回開催からこちらの漉き方もお伝えしていきますね。
オンラインだと約90分で完成させていきます。
ご自分の家などでワークショップにご参加頂けるので、参加者のお二人も気楽な気分で和紙が作れたと思います。
お二人とも
「伝統的でオーガニックな和紙が作れて感銘を受けた」や
「人の手で作られたものの良さを改めて実感できた」というご感想を頂きました。
上記にも記載しました、オンラインもワークショップも改良などをしてさらに良いものが作れるようにしていきたいと思います。
常に、どんな風に和紙の良さに触れたり、楽しんで頂けるかを考えて試作を作ったりして進めていこうと思っています。
是非、あなたも新たな和紙の魅力に触れてみませんか。
#Workshop #Online #ハンドメイド #手作り #workshop #WashilaboTOKYO