こんにちは。
東京和紙の篠田です。
今回は、和紙の原料でもある楮(こうぞ)の実についてご紹介します。
これが食せると聞けば、いろんな方が興味を持つはずですね。
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先日、大雨の中楮の実を収穫しに東京の奥多摩方面に行ってきました。
1か所目はたくさん実はなっているのですが、まだ熟しておらずしかも強風にあおられて貴重な実がどんどん落ちてきてしまいました…。
仕方ないので伸びてきてしまった枝を切って貴重な実が落ちないようにしました。
切った枝についていた葉っぱは、全部は破棄せずに有効に使用します。
なかなか、自然のものを収穫するにはタイミングと天候具合も検討しなければならないので調整が難しいですね。
そもそも楮の実とは?
楮(こうぞ)は桑科の種類になります。
桑の実は細長く赤黒い色に熟していきますが、楮の実は丸くオレンジ色なのが特徴です。
どんな楮の木にも実がなるかといえば、そうではありません。
姫楮(ヒメコウゾ)という種類で雄株と雌株が一緒になった「雄雌同株」の木だけが実がなって熟すことができます。
(雌株だけだと実がなっても熟さずに終わってしまいます)
とっても貴重な実といえますね。
もちろん、楮の実も食すことができます。
「楮実(ちょじつ)」と言って漢方薬にも使用されているそうです。
2か所目に行ったら、ちょうどよい完熟時期でたくさん収穫することができました。
完熟するとするっと軸から取り出せるのですが、実がネバネバしているので力をいれず、しかも落とさないようにとるのがコツです。
一口、生の状態でパクリ!
めっちゃ甘い!
なんというか果てしなく甘い…。(だらしない甘さとも言える…)
しかも雄しべが硬く棘のように舌にザラザラ残ります…。
調理するには色々工夫が必要になります。
早速、実を洗って虫や葉を落とし、ジュースを作りました!
楮の実だけでは、甘ったるいのでレモン汁を入れて炭酸水で割ってみました。
爽やかな味わいに変身してとっても飲みやすくなりました。
他にもジャムと氷砂糖漬けも作る予定です。
来年もたくさん収穫できるといいな~~。
ちなみに、和紙にするためには幹に栄養を沢山注がなければなりません。
(皮を厚くするため)
脇芽や花などは残念ながら摘んでしまいます。
しかも1年で育った幹をどんどん毎年刈り取るのでなかなか花をも咲かせることがありません。
和紙用と食用と木を分ける(種類を分ける)必要があるのです。
東京和紙としては、どちらも大切な活動です。
「使う和紙の楽しみ」と「作る和紙の楽しみ」と「食す和紙の楽しみ」それぞれを今後もご紹介していきます。