和紙原料の楮(こうぞ)を刈り取った後の整備

こんにちは。

ショップ「和紙ラボTOKYO」を運営する東京和紙の篠田です。

先月、長く伸びた楮(こうぞ)を刈り取りました。

株状態になったら、芽が出るまで手入れは基本的にありません。

ただ、プランターで栽培しているため、整備が必要です。

年数が経過した株はもっと大きな場所に移動する必要があります。

どんな風に整備したかをご紹介します。


 

~念のためご紹介~

 

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、再度ご案内。

東京都台東区御徒町に当店「和紙ラボTOKYO」がございます。

ショップ兼工房となっていて、和紙を作りながら和紙商品や水引を販売をしております。

そして、和紙の原料もショップの前でほんの少しですが栽培しています。

詳細はこちらをご覧ください。


和紙ラボTOKYOの手すき和紙製造過程

 畑や山で栽培しているものよりも小さめですが、それでも約3mも超える枝っぷりです。

そこまで成長させるにはやはり大きめのプランターで育てる必要があります。

小さめのプランターで育てていた楮をまず大きめなプランターに移動します。

  

楮1を移動

 

 3年経過した楮を大きなプランターに移動します。

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基本的に、楮(こうぞ)は3年以上成長させないと和紙にすることはできません。

和紙は、楮などの木の皮から作られています。

若い木だとまだ皮は薄く、また細いので和紙にすることができないからです。

だいぶ狭いスペースだと根が伸びきれなくて枝も大きく伸びません。

ここらで大きなスペースに移す必要があります。

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土ごと移動しました。(再生用土も混ぜています)

土のままの方が環境が変わらず成長できると考えた次第です。

そして、新しい土と混ぜ合わせて根を伸ばせる環境にします。

楮は、横に根が伸びる性質です。

プランターも横幅があるものを選んでいます。

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移動完了!

ただし、安心するのはまだ早いです。

無事に新芽が出てくれば根がしっかり定着したことになります。

それまでは静かに見守ります。
 

~楮その2~

 

楮1が入っていたプランターをそのまま生かして楮その2を移動します。

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元々大きな楮がここに植えているのですが、どうやら実がなったようで種が落ちて芽が出てきたようです。

楮は根が強靭です。

竹のように伸びた根からまた新芽が出てきますが、今回は種から育ったようです。

1年目のルーキーなので、一人暮らしをさせます(^^;)

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1年目でも侮ってはいけません。

だいぶ根を深く伸ばしていたので、掘り起こすのが大変でした。

隣には大きな楮の株があって、根が巻き付いている部分もありました。

髯根はともなく、成長に必要な本筋の根が切れないように慎重に土をかき分けます。

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ようやく抜くことができました。

しっかりした根が育っています。

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楮その1と同様にいままで植えていた近辺の土を根の周りに置いて新しい土を追加して整えていきます。

こちらも3年経過するまで育てていこうと思っています。

ただし、成長が早そうならばまた大きなプランターに移動していく予定です。

土を入れ終わったら水をやって土を踏みならして固定させます。

 

~移動する時期~

 

楮を植える時期はいつですかという問い合わせを頂きます。

苗の状態もあると思いますが、個人的には冬場がよいかと思います。

もちろん、畑などの状況もあるので全てが今時期がよいとは限りません。

ただ、刈取りが冬場で、新芽が出てくるのが4月頃なので芽が出ていない状態での移動や植えるのがよいと考えます。

芽を出すには木自体も大きなエネルギーが必要で、その下準備の意味もあるのです。

新しい環境で芽が出せれば順応している証明になるので、それまでは見守っていくことが大事と考えます。

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春が待ち遠しくて、また大きく成長してくれることを願うばかりです。

手入れはまだまだ続きますよ。

   

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