一から手すき和紙で年賀状を作っています。

こんにちは。

東京和紙の篠田です。

もうすぐ今年も終わりますね。

年賀状の準備は完了していますか?

年々出される方も少なくなって来ていますが、和紙屋としては商品アピールの意味もありますので、いまのところ辞めるということは考えていません。(^^;)

東京和紙は手すき和紙屋でございますので、どうやって年賀はがきを作っているかを

簡単にご紹介したいと思います。

 


 

原料を煮る

 

和紙の原料は楮(こうぞ)の白い皮です。

普段は乾燥させて保管しています。

使用する際に水に一昼夜水に漬けて戻していきます。

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楮(こうぞ)を鍋でぐつぐつ煮ていきます。

この写真は、煮始めの時のものです。

約3時間位煮ていくとくたくたになっています。

かんぴょうを煮た状態が近いですね。

 

原料を洗う

 

植物なので、煮ていると灰汁などが出てきます。

それを何回も水を交換して洗っていきます。

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最初は水も楮(こうぞ)も黄色いですね。

水を交換しながら太陽の光にも当てていきます。

すると

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ここまで白くなっていきます。

水も透明になっていますね。

白い和紙にするには、ここで傷やカスなどを取り除く「ちりより」作業をしますが、

あえて混合させたまま和紙にします。

  

原料を叩く

 

もっと楮(こうぞ)の繊維を細かくほぐすため叩きます。

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叩くことで繊維が解れて1本1本が細かくなっていきます。 

だんだん紙っぽくなってきましたね。

量にもよりますが、今回は約1時間ほど角材で叩き続けました。

久々にこの作業したので、水膨れが出来てしまいました(^^;)

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叩いてほぐした状態も何度か水に晒して洗っていきます。

そうすることでどんどん自然に白くなっていきますよ。

東京和紙は、化学漂白は一切使用していません。

自然の白色を楽しんで頂きたいですね。

 

ようやく和紙を漉(す)く

 

何日も経てようやく専用の道具で和紙を漉(す)いていきます。

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この道具は、葉書サイズが2枚同時に漉(す)くことができます。

仕事の合間にちょこちょこ漉(す)いていきました。

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横から見るとだいぶ厚く見えますが、ほとんど水です。

なので、意外に薄い和紙ができます。

今回は、ちょっと薄めにしました。

 

和紙を乾燥

 

厳密に言うとまだ「和紙」とは呼ばないのです。

水を含んだ和紙の状態は「湿紙(しとがみ)」と呼びます。

これを「和紙」にしていきますよ。

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 いつもは木に干して自然乾燥させていますが、今回は実験などもあって乾燥機を使用しました。

どんどんパリッと乾燥していきますよ。

 

年賀状の完成

 

ようやく葉書サイズの和紙が完成しました。

ここから年賀状へと仕上げていきます。

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写真は、型染したものとプリンターで印刷したものです。

和紙を薄くしたのは、プリンターに通しやすいためです。

型染めも裏移りしない程度の厚みにしています。

私は字は下手ですが、書を習っている方などは是非筆で字を書いて頂きたいです。

 

手すき和紙をプリンターで印刷する場合の注意

 

市販で販売している手すき和紙は印刷用に加工しているものとされていないものがあります。

プリンターのことを考えると加工されているものをお勧めします。

(表面が平滑性が高いもの)

何も加工をしていないと表面が毛羽立っていて、繊維がローラーに巻き付きやすいです。

これを「紙糞(しふん)」と呼びます。

この紙糞はどんどんたまるとローラーを詰まらせてしまいますので、ご注意ください。

また、手間ではありますが手差しで1枚ずつプリンターに通してください。

給紙トレーに入れても送りだされないことが多々多いです。

例えば、自分で漉いた和紙を印刷する際はプリンターに負担のない方法でお願いします。

 

最後に

 

年賀状に限らず自分で和紙を漉いてポストカードを作りたいという方にはワークショップを開催しています。

shop.thewashi.tokyo

上記で紹介した葉書サイズが2枚漉(す)ける道具で作ることができます。

実際にショップに出向いて和紙を作ることができない方に向けて、オンラインワークショップも開催しています。

shop.thewashi.tokyo

こちらは、専門の道具ではなく身近にあるキッチン道具などで和紙を作っていきます。

原料は本物の楮(こうぞ)の下準備したものをキットと一緒に送りますので、

家にいながら本格的な和紙が作れます。


おうちで本格的な手すき和紙を作ろう!

長いお休みの中で伝統工芸体験をしてみたいという方は是非ご検討くださいませ。